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※本記事は、FXの取引の形である「店頭FX」と「取引所FX(くりっく365)」の制度上の違いを、金融庁・国税庁・取引所の公開情報にもとづいて整理した一般的な解説です。特定の取引の形や会社をすすめるものではなく、どちらを選んでも損失が出るおそれがあります。制度や条件は変わることがあるため、最新の内容は各公式情報と取扱会社の説明書面で確認してください。
FXを始めた人の多くは、FX会社で口座を作り、その会社の画面で取引をしています。これは「店頭FX」と呼ばれる形です。もうひとつ、取引所に上場されたFXを、取扱会社を通じて売買する「取引所FX」という形があり、国内では東京金融取引所の「くりっく365」がその代表です。
この記事では、まどか先生が①2つの取引の形の基本、②店頭FXの裏側にある「カバー取引」、③くりっく365の価格の決まり方、④スワップ・証拠金の預け先・手数料・税金・証拠金ルールの違い、⑤どちらにも共通するリスクを順番に整理します。FXそのものの基本がまだの場合は、先に FXとは何?初心者が押さえるべき基礎知識と取引の始め方 を読むとつながりやすくなります。
FXには「店頭FX」と「取引所FX」の2つがある
金融庁はこの2つを次のように説明しています(出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」)。
FX取引を扱う金融商品取引業者(店頭FX業者)と、1対1(相対:あいたい)で行う取引です。業者が取引の相手になるため、業者の信用力や取引ルールの順守が大切になる、と金融庁は説明しています。
金融商品取引業者を通じて、金融商品取引所に上場されたFXを取引する形です。国内では東京金融取引所に上場されていて、その名前が「くりっく365」です。
店頭FXのしくみ|FX会社が相手になり「カバー取引」をする
カバー取引とは
カバー取引は、FX会社がお客さんとの取引で抱えた立場(ポジション)を、銀行などの別の取引相手(カバー先)との取引で打ち消すことを指します。お客さんから「買い」の注文を受けた会社が、カバー先から同じ通貨を買っておく、というイメージです。どのくらいの割合を、どのタイミングでカバーするかは会社ごとに違います。
カバー先として価格を出してくれる銀行などは「リクイディティ・プロバイダー」とも呼ばれます。それがスプレッド(売値と買値の差)にどう関わるかは FXスプレッドの仕組みや取引への影響を解説|FX会社選びのポイントも紹介! にまとめてあります。本記事は「取引の相手が誰か」という制度の側から見ています。
くりっく365のしくみ|複数の金融機関の価格から「いちばん有利な値段」を合成
くりっく365の公式ホームページ(東京金融取引所)によると、くりっく365は外国為替市場の複数の主要金融機関(マーケットメイカー)から価格の提供を受け、その時点で投資家にとって最も有利になる価格をシステムで自動的に合成して提示する仕組みです。マーケットメイカーの数は通貨ペアによって異なり、どの価格でどれくらいの数量を取引できるかもリアルタイムで表示される、と説明されています。
店頭FXとくりっく365の違いを表で比べる
| 見るところ | 店頭FX | くりっく365(取引所FX) |
|---|---|---|
| 取引の相手 | FX会社(1対1の相対取引) | 取引所に上場された商品を、取扱会社を通じて売買 |
| 値段の決まり方 | 各FX会社が提示する | 複数のマーケットメイカーの価格から、投資家に最も有利な価格を合成 |
| スワップポイント | 受け取りと支払いで金額が違うことがある | 受け取りと支払いが同じ金額(一本値) |
| 証拠金の預け先 | FX会社が信託銀行などに金銭信託して、自社のお金と分けて管理 | 取扱会社を通じて全額が取引所に預けられ、取引所で管理 |
| 取引手数料 | 会社ごとに決まる | 無料とは限らない(取扱会社しだい)。「ラージ」は手数料あり |
| 税金(個人) | 国内の登録業者との取引なら申告分離課税 | 申告分離課税(店頭FXと同じ扱い) |
| 証拠金のルール(個人) | 取引金額の4%以上(レバレッジ25倍以下) | 取引所が規則にもとづいて証拠金の基準額を算出 |
出典:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」、国税庁 タックスアンサーNo.1521、くりっく365公式ホームページ「特徴とメリット」(いずれも2026年10月10日に確認)。
スワップポイント|くりっく365は「一本値」
スワップポイントは、2つの通貨の金利差から生まれる受け払いです(くわしくは FXのスワップポイントとは?仕組みから活用法まで徹底解説!)。くりっく365の公式ホームページでは、受け取る額と支払う額を同じ金額(一本値)にしていること、取引所も取扱会社もスワップの受け払いの差から利益を得ない仕組みであることが説明されています。
証拠金の預け先|どちらも「会社のお金と分ける」が、置き場所が違う
金融庁によると、店頭FX業者は、万が一破綻した場合でもお客さんの資産を守るため、信託銀行等への金銭信託によって、預かった資産を自社の資産と分けて管理することが求められています。一方、取引所FXの証拠金は業者を通じて取引所に直接預けられ、取引所で管理されます。くりっく365の公式ホームページでも、取扱会社は預かった証拠金の全額を東京金融取引所に預けることが法令で義務づけられており、取扱会社が破綻した場合でも証拠金は原則として保全される仕組みだと説明されています。
「預けたお金が分けて管理される」ことと、「取引で損をしない」ことはまったく別の話です。分けて管理する仕組みは、会社が破綻したときのための備えです。相場の値動きによる損失は、店頭FXでも取引所FXでも、取引した本人に生じます。会社が破綻したときの一般的な保護の考え方は 証券会社が倒産する理由3選と保証制度や倒産リスク対策を徹底解説! も参考になります。
取引手数料|「無料」とは限らない
くりっく365の公式ホームページでは、くりっく365の手数料は無料としつつも、すべての取扱会社で無料とは限らないと注記されています。また、取引単位の大きい「くりっく365ラージ」は手数料がかかり、金額は取扱会社ごとに異なるとされています。店頭FXでも手数料やスプレッドの出し方は会社によって違うため、どちらの形でも、実際にかかるコストは取扱会社の説明で確認するのが確実です。
税金|国内の登録業者なら、店頭FXも取引所FXも同じ扱い
国税庁のタックスアンサー(No.1521 先物取引に係る雑所得等の課税の特例)では、取引所で行うFX(市場デリバティブ取引)と、第一種金融商品取引業者または登録金融機関を相手にした店頭FXは、どちらも他の所得と分けて税金を計算する申告分離課税の対象とされています。一方、相手方がこれらに当たらない店頭FXは、原則として総合課税の雑所得になると説明されています。
証拠金のルール|個人は「取引金額の4%以上」が基本
金融庁によると、個人が店頭FXを行う場合は、通貨ペアの種類を問わず、取引金額の4%以上の証拠金を差し入れて維持する必要があります(レバレッジに換算すると25倍以下)。取引所FXでは、証拠金の基準額を取引所が取引所規則にもとづいて算出します。どちらの形でも、レバレッジを高くするほど、同じ値動きで生じる損益は大きくなります。レバレッジの仕組みと怖さは FXのレバレッジとは?メリット・デメリット・リスクをわかりやすく解説 で整理しています。
取扱会社の条件|くりっく365は「取引所の資格要件」がある
くりっく365を扱えるのは、法令と東京金融取引所の規則にもとづく資格要件を満たした会社だけです。公式ホームページでは要件の一例として、資本金3億円以上・純資産20億円以上・自己資本規制比率200%以上が挙げられ、金融商品取引業者として求められる要件の一例(資本金5,000万円・自己資本規制比率120%)と並べて示されています。また、取扱会社は東京金融取引所の自主規制部門によってモニタリングされる、と説明されています。
どちらにも共通するリスク
- 元本は保証されない:相場が思っていた方向と逆に動けば、どちらの形でも損失が出ます
- レバレッジで損失がふくらむ:少ない証拠金で大きな金額を動かすぶん、損失も大きくなります
- ロスカットや追加の入金:損失が一定を超えると強制的に決済されることがあり、急な値動きでは預けた額を超える損失が出るおそれもあります(FXにおけるロスカットのリスクと回避法を解説!FXの損失を最小限に抑えよう)
- 相場の急変:スプレッドが広がったり、思った値段で取引できなかったりすることがあります
FXで想定しておきたいリスクの全体像は FXの危険性とは?6つのリスクと失敗しないための回避策を解説 にまとめてあります。取引の形を選ぶことは、これらのリスクを消すことにはなりません。
取引の形を確かめるときに見ておきたいこと
FXを日本の居住者に向けて業として行うには、金融商品取引業の登録が必要です。金融庁は登録業者の一覧を公開していて、無登録業者への警告の一覧も出しています。海外のライセンスを持つ業者でも、登録を受けずに日本の居住者を相手に取引を行うことは禁止されている、と金融庁は説明しています。確かめ方は FXの口座開設は危険?安全に始める方法とリスク回避のポイントを解説 でも紹介しています。
口座の名前や契約締結前交付書面で確認できます。同じ会社が両方を扱っていることもあります。
スプレッド、取引手数料、スワップポイントの決め方を、取扱会社の説明でそれぞれ見ておきます。「手数料無料」だけで判断せず、スプレッドも合わせて見るのがポイントです。
最小の取引単位や、扱っている通貨ペアは会社や商品で違います。通貨ペアの読み方は FXの通貨ペアとは?ドル円の読み方とクロス円の違いをまどか先生がやさしく解説 を参照してください。
未カバー率・カバー取引の状況・平均証拠金率などは、店頭FX業者がウェブサイトで公表しています。数字の意味が分からなくても、「公表されている場所が分かる」だけで確認の第一歩になります。
口座を作ったあとのお金の出し入れの流れは FXの入金・出金のやり方|手順と出金までの流れをやさしく解説 に、銀行の外貨預金と比べたときの違いは FXと外貨預金の違いは?6つの見どころをまどか先生がやさしく整理 にまとめてあります。
初心者がつまずきやすい3つの勘違い
①「取引所FXなら損をしない」
取引所FXで守られるのは、取扱会社が破綻したときの証拠金の置き場所の話です。相場の値動きによる損失を防ぐ仕組みではありません。
②「スワップが一本値なら、受け取りがいちばん多い」
一本値は受け取りと支払いを同じ金額にする決め方のことです。公式ホームページも、店頭FXより受け取りが多いという意味ではないと注記しています。
③「取引所FXのほうが税金が安い」
以前はそう言われた時期がありましたが、いまは国内の登録業者との店頭FXと取引所FXは、どちらも申告分離課税で同じ扱いです(国税庁 No.1521)。
くりっく365と店頭FXについて、よくある質問
くりっく365は、どこで口座を作るのですか?
東京金融取引所に直接ではなく、くりっく365を扱う取扱会社(証券会社やFX会社)で口座を作ります。取扱会社は、法令と取引所の規則にもとづく資格要件を満たした会社に限られる、とくりっく365の公式ホームページで説明されています。
店頭FXの口座を持っていても、くりっく365を使えますか?
店頭FXの口座とくりっく365の口座は別の扱いになるのが一般的です。同じ会社が両方を扱っている場合でも、申し込みが別に必要なことがあるため、取扱会社の案内で確認してください。
取引所FXなら、値段がいつでも出ていますか?
公式ホームページでは、相場の急変時にはスプレッドが広がったり、価格が提示されず取引できなかったりする可能性があると説明されています。店頭FXでも、急な値動きのときに同じようなことが起こりえます。
どちらのほうがスプレッドが狭いですか?
会社、通貨ペア、時間帯によって変わるため、一概には言えません。スプレッドの考え方は FXスプレッドの仕組みや取引への影響を解説|FX会社選びのポイントも紹介! で解説しています。
まどか先生のまとめ
- 店頭FXはFX会社と1対1、取引所FX(くりっく365)は取引所の商品を取扱会社を通じて売買
- 店頭FXの会社は、抱えた立場をカバー取引で打ち消すことがあり、未カバー率などを公表している
- くりっく365は、複数のマーケットメイカーの価格から最も有利な価格を合成。スワップは一本値
- 証拠金は、店頭FXなら金銭信託で分けて管理、取引所FXなら取引所に全額預けて管理
- どちらの形でも、値動きによる損失のリスクは同じようにある
取引の形の違いが分かったら、次は会社ごとの条件を見比べる段階です。スプレッドや通貨ペアの数、ツールの使いやすさなど、口座を選ぶときの見どころは 初心者から上級者まで!おすすめのFX口座と選び方のポイント に整理してあります。
この記事の出典(2026年10月10日に確認)
- 金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」
- 国税庁 タックスアンサー No.1521「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」
- くりっく365公式ホームページ(株式会社東京金融取引所)「特徴とメリット」
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※本記事は一般的な情報提供であり、特定の取引の形・会社・投資判断を推奨するものではありません。相場の先行きを予測するものでもありません。FXは元本が保証されない取引で、損失が生じるおそれがあります。制度の詳細は金融庁・国税庁・各取扱会社の最新情報で確認し、投資は自己責任で、余裕資金の範囲で行ってください。
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